中野富士見町駅から徒歩15分、笹塚駅からも徒歩17分。
どちらの駅から歩いても近いとは言えない南台商店街の一角に、地元の人がこぞって名前を挙げ、開店前から人が並ぶパン屋があります。
「ケノヒノパン」
2022年に開業し、今年で4年目です。
当初は夫婦二人で始め、去年からは奥さんの妹さんも加わって、いまは3人で店を切り盛りしています。
ケノヒノパンの店主、鈴木さん

店主の鈴木さんは、面白い経歴の持ち主です。
もともとはジャズギタリストを目指してカナダへ渡り、そこからパン職人の道を志してフランスへ。
パリで長く修業を積んだ後、同じパン職人の奥さんとの出会いをきっかけに日本へ帰国し、この南台の地でお店を構えました。
「楽しそうなパン屋を目指しているんです」と話す鈴木さんに、これまでの道のりと、これから目指しているものについて話を聞きました。
ジャズを見に行きたくて、カナダへ行ったんです

ナカマニパン職人になる前は、どんなことをされていたんですか?



もともとはギター弾きだったんです。
音楽大学に留学したかったんですけど、お金もなくて。
カナダに行けばワーキングホリデーで働きながら生活できるし、もともとジャズを見に行きたかったんです。



カナダでの生活はいかがでしたか?



トロントは移民の街だったから、いろんな考え方がありました。
日本で常識とされていることってあんまり通用しなくて初めは戸惑ったけど、そのうち居心地がよくなっていました。
初めて日本を出て向かったのがカナダ・トロント。
1年半のワーキングホリデー生活で、自分で食を手にしてサバイブした経験が、その後の海外挑戦の土台になったといいます。
自分の売りを作らなきゃと思って、フランスに行こうと





ギターからパンへ、しかもフランスへ、というのはどんな流れだったんですか?



27歳ぐらいの時ですね。ギターでは食えないから、パン作り面白そうだからパン職人になろうかなと。
ただ、もう27だから、そこから料理の専門学校を卒業したての人達とパンの世界で勝負するのはなかなか大変だなと思ったんです。



自分の売りを作らなきゃいけないから、それならパンの本場である「フランス行っちゃえ」と思ってフランス行ったんですよね(笑)。
そしたら、なんだかんだで13年〜14年パリでパン職人を続けてこれたって感じです。


フランスでの仕事は、カナダで知り合った友人の「友人の友人」という遠い縁で見つかったといいます。
「どんな経験も無駄じゃない」
行動力の塊である鈴木さんが大切にしている考え方です。
二人だったらやれるかな、と思って日本に帰ってきたんです





長くフランスにいらしたなかで、日本に戻ってお店を出すことになったのはどんな流れだったんですか?



奥さんとフランスで出会ったんです。
たまたまフランスに旅行で来ていて、そのタイミングで知り合って。僕はその後、今度はニューヨークに行く予定だったんですよ。
フランスのパン屋のニューヨーク支店に行く話があって。ジャズギタリストになりたい気持ちもまだあったから、ニューヨークならやっていけるかなと思って。





フランスにいる頃から、自分でパン屋をやるという選択肢についても考えてはいました。
そのときに同じパン職人である奥さんと話しているうちに、「二人だったらやれるかな」と。
じゃあ日本でやろうかなって、そういう感じで帰ってきたんです。
開業当初は夫婦二人体制で、去年からは奥さんの妹さんも正社員として加わり、いまは3人で店を回しています。
南台には盛り上がれるポテンシャルがあるんじゃないかなって、思ったんです





日本に戻ってきて、南台を選んだ決め手は、どんなところにあったんですか?



開業前、1年ぐらい東京の商店街をいろいろ見て回っていたんです。
そのうち商店街を見て、2つの印象を持つようになって「このまま潰れちゃうんだろうな」っていう商店街と、「まだポテンシャルがあるんじゃないかな」っていう商店街。
色々見た中で、南台はどっちかっていうと後者に見えたんですよね。



どの駅からもすごく遠いんですけど、ちゃんとしたものを提供できれば盛り上がれるポテンシャルはきっとあるんじゃないかなっと。
ここでやれば南台を盛り上げられるかもしれない、そういう気持ちもあって開業しました。





4年経ってみて、南台の印象はいかがですか?



お客さんがすごいみんな優しいですね。
やっぱ下町情緒がありますね、この地域は。すごい楽しくやらせてもらってます。
選んで正解でした、ここでやってよかったなっていう感じです。
候補には大崎や祖師谷、本郷など、都内のいろいろな商店街があったそうです。
1年ほど歩いて回った末に、たどり着いたのが南台でした。
毎日食べるパン屋にしたくて、『ケノヒノパン』って名付けたんです





ケノヒノパンという店名の由来を教えてください。



普段使いのパン屋にしたくて。
スペシャルな日じゃなくて、普通の日に食べるパン、そういう感じです。
これは奥さんがつけてくれた名前なんです。



想定してるお客さんも、本当にこの辺、半径500メートルぐらいの人々です。
気軽に来てサッと買って帰っていくみたいな、そういう使い方をしてもらえたらありがたいです。





パンを作るうえで、一番大切にしていることは何ですか?



自分が楽しいかどうか、ですね。
開業する時に奥さんと話し合ったのは、「楽しそうなパン屋だね」って思ってもらえるパン屋を目指す、ということでした。
裏で怒号が飛んでるようなパン屋は嫌じゃないですか(笑)。



自分たちが楽しそうじゃないと、お客さんも楽しくないし、自分たちが美味しいと思えないパンは、お客さんにも届かないんです。
まずは『カンパーニュ・ナチュール』を食べてみてほしいです





初めてのお客さんには、どのパンをおすすめしていますか?



シンプルにカンパーニュをおすすめしています。
うちの一番のおすすめは、何も入っていない『カンパーニュ・ナチュール』。
日本の小麦と、長野県のなつみ農園さんからいただいている『黒小麦』という小麦を、店内の石臼で毎週挽いて自家製粉して焼いています。



材料のこだわりはありますか?



小麦粉は基本的に国産を使っています。
日本のパン業界における国産使用率って、5、6%とも言われているんです。
せっかく日本に帰ってきたので、せめて自分の国の粉を使いたいという想いがあります。


シンプルなハード系のカンパーニュを軸に、食パンやチョコパンなどの定番も人気。
半径500メートル圏内のお客さんが「普段使い」で気軽に立ち寄れるラインナップです。
『南台から世界へ』を掲げて、勇気を与えられるパン屋になれたら





これから目指していることを聞かせてください。



パネットーネという、イタリアのクリスマスのパンがあるんです。
それに世界大会があって、そこにいつか日本代表として出たいんですよ。
国内のパネットーネの入賞歴はあるんですけど、いつか世界大会に、日本代表の座を取りたいなという思いがあって。



「南台から世界へ」って勝手にタイトルをつけて。
学校で甲子園出場が決まると『何とか野球部甲子園出場』って垂れ幕が出るじゃないですか。あれの商店街版を出そうって(笑)。
そうやって商店街の人々に勇気を与えられるパン屋になれたら、素敵だなって思います。


開業から4年目。
「南台から世界へ」を掲げるケノヒノパンは、今日も普段の日の食卓のために、丁寧にパンを焼き続けています。
ケノヒノパンのメニュー
カンパーニュ・ナチュール(ハーフ)


店主の鈴木さんイチオシのカンパーニュ・ナチュール。
長野県の『黒小麦』という小麦を、店内の石臼で毎週挽いて自家製粉しているケノヒノパンらしい一品。


食パン(6枚切り)


3日間かけて作る食パン。
早いときには午前中に売切れてしまう人気の一品。


チョコパン


子どもから大人まで大人気のチョコパン。
1個100円という値段設定もあいまって、これを買いにくるお客様も多いのだとか。


醸す(カモス)ハーフ


麹を使ったニュージャンルのパン。
麹の作用によって甘味や口溶けがよくなり、常連さんに人気の一品。


味噌とチェダーチーズのロデブ(ハーフ)


鍋屋横丁で明治18年から続くあぶまた味噌さんの「江戸甘味噌」を使用。
中野区のお味噌でなにか作れないか、という発想から生まれた一品。


店舗情報:ケノヒノパン(中野区南台)


今回は、南台にある「ケノヒノパン」さんに伺わせていただきました。



お店の詳細は、インスタを参照にしてぜひ行ってみてください!
| 概要 | 詳細 |
|---|---|
| 店舗名 | ケノヒノパン |
| 住所 | 〒164-0014 東京都中野区南台3丁目13−12 |
| 最寄り駅 | 京王バス「南台三丁目」から徒歩3分ぐらい 丸ノ内線「中野富士見町駅」から徒歩15分ぐらい 京王線「笹塚駅」から徒歩17分ぐらい |
| 営業時間 | 10:30〜18:00 ※サマータイム期間は10:30〜13:30/15:30〜19:00 ※売切れ次第終了 |
| 定休日 | 火曜日、水曜日、木曜日 |
| 電話番号 | |
| 店舗情報 | Instagram @kenohinopain |









