中野駅の北口から歩いて13分ほど。
駅から少し離れた一角に、テレビや雑誌にたびたび紹介される店があります。
「なかの中華!Sai」
2013年に開業し、今年で13年目の広東料理店。
産地直送の鮮魚を看板にしながら、麻婆豆腐や担々麺、点心まで幅広く味わえるお店です。
なかの中華!Saiのオーナー、宮田さん

宮田さんは兵庫県の出身。
調理師学校を卒業後、東京の中国料理店で修業を積み、2013年8月にこの中野の地で独立しました。
開業当時、この通りは「飲食店デッドストリート」と呼ばれていたそうです。
「疲れない。食べ飽きない。周期的に食べたくなる味を目指しています」と話す宮田さんに、13年の道のりと、料理に対する考え方について話を聞きました。
会ったことのない祖父が、中国料理の料理人だったんです

ナカマニ料理の道に進もうと思ったきっかけは何だったんですか?



祖父が中国人で、中国料理の料理人だったんです。
戦後すぐぐらいに中国から日本に来て、神戸の高級店で料理長をやっていたらしくて。
ただ、僕は会ったことがないんですよ。僕が生まれるはるか前に、中国へ帰ってしまったので。



それで料理に興味を持ったんです。レストランに行ったことはあっても、厨房の中って分からないじゃないですか。
こういう美味しい料理が作れたらカッコいいなと思って。
小学校の卒業文集には、すでに「料理人になりたい」と書いてあったそうです。
調理学校では当時流行りだしていたイタリアンにも惹かれたそうですが、結局は中国料理へ。「やっぱり一番口に合うんですよね」と宮田さんは話します。
理(ことわり)を料(はか)ると書いて、料理





中華の魅力ってなんですか?



何でもありなところですかね。食べることに対してすごい貪欲な国なんです。
あと、昔から料理をやっている方って、科学的な知識がない中で、感覚と経験値でそれを割り出してきたわけですよね。



それを今の時代だからこそ分かる形で分析していくと、とても理にかなった答えが出てくるんです。
料理って、化学反応の連続なので。「理(ことわり)」を「料(はか)る」と書いて、料理ですから。





素敵な言葉ですね。
修業先でも、そういう教わり方だったんですか?



いえ、僕に教えてくれた方は感覚派だったんですよ。
長嶋茂雄タイプというか、「ボールがパッと来て、グッと来たらバーンでホームラン」みたいな。分かんねえよと思って(笑)。



だから、「なんでこうしてるんだろう」って、自分で考える癖が凄くつきました。
工程には絶対に意味があるんです。なぜこの工程はこの順番なのか。一つひとつを言語化していくと、どの工程をどうしていけば、もっとよくなるかわかるんです。
自分なりの答えを身につけてきた結果が、いまの料理につながっています。
この考え方は、店の人気メニューである小籠包にも表れています。
皮はもうちょっと、フィーチャーされていいんじゃないかなって





小籠包は、皮から作られているんですね。



そうです。季節によって入る水分量が全然違うんですよ。
だいたい70グラム前後なんですけど、冬場だと同じ分量でも75グラムくらい入る。
1グラム単位の世界なんですけど、毎日「今日のこの感じだとこのくらいだな」って感じながらやってます。





点心で難しいのは、どんなところですか。



やっぱり皮の状態ですよね。中身も大事なんですけど、中身の方が重要視されがちで。比率としては、皮と一緒なんですよね。
割れたら意味がないし、伸びてぶよぶよになっても意味がない。
皮はもうちょっと、フィーチャーされていいんじゃないかなって思うんですよね。


小籠包は、包んだあと1分だけ蒸してから急冷します。皮にだけ火を入れておくと水を吸いにくくなり、蒸したときに伸びず、冷凍しても破れないのだそうです。
なぜ破れるのか、なぜ皮が弱くなるのか。すべてを言語化してきた宮田さんならではのやり方です。
大徳寺納豆には豆豉には出せない旨味と、独特の酸味があるんです





麻婆豆腐の特徴を教えてください。



うちの麻婆豆腐の特徴の一つに、大徳寺納豆を使っていることですね。
普通は豆豉という、黒豆みたいなものが入るんですけど、うちはそれじゃなくて、京都の大徳寺納豆を使っていて。
豆豉には出せない旨味の強さと、独特の酸味があるんですよ。それが僕にはすごく好みで。





大徳寺納豆を使うきっかけがあったんですか?



オープン前に、京都の大徳寺付近で買い物しているときに、おまけにくれたんですよ(笑)。
帰って家で豆豉の代わりに試しに使ってみたら、やたら美味しくて。
それで、大徳寺納豆入り麻婆豆腐って面白いかもと思い、そこから13年ずっと使っています。
調べてみると、大徳寺納豆は国産の豆豉ともいえるもの。
「最初の頃は『納豆嫌いなんです』ってよく言われて。『その納豆じゃなくてですね』って毎回説明していました」と宮田さんは笑います。
グラフにしたら、六角形が綺麗に並んだバランスのとれた味





麻婆豆腐を作るうえで、一番難しいのはどんなところですか?



麻婆豆腐って、めちゃくちゃ難しいんですよ。
みんなが知ってる料理じゃないですか。家でも作るし、レトルトもあるし。
あんまり逸脱すると「何これ」ってなってしまうし、枠の中に収めつつ、ちゃんと個性を出すというのが難しいですね。



正直やろうと思えば、バズらせるように山椒をバッチバチにかけたり、辛味を物凄く強くしたりとかやったほうが、ネット受けはするし、話題性も出ていいと思うんですけど。
それをしないのが、うちのいいところかなと思っていて。
食べ飽きないので。





たしかにそうですね。



麻婆豆腐は調味料の調和を取るのが難しい料理なんですよ。ただ僕の中で調味料の調和が取れた。
なので、うちのは何かが突出しているわけじゃないんです。辛みでも、山椒でも、塩でも甘さでもなくて。
グラフにしたら、ちゃんと六角形が綺麗に並んだバランスのとれた味。



それがうちの特徴かなと思います。
疲れない、食べ飽きない、周期的に食べたくなる味。
それを目指していますね。
うちは少し特殊で、炊飯器ではなく蒸し器でご飯を炊いているんです。





麻婆豆腐は、ご飯と一緒に食べてほしいとおっしゃっていましたね。



僕はもう本当に、麻婆豆腐はご飯のおかずだと思っているので。
ちゃんと美味しいご飯が美味しく食べられる麻婆豆腐が、いい麻婆豆腐だなと思いますね。
とくにうちはよくお米が美味しいと褒められます。





お米にもこだわりがあるんですか?



うちは少し特殊で、炊飯器ではなく蒸し器でご飯を炊いているんです。
蒸すと対流が一切起きないので、米がぶつからずに膨らんでいく。
だから粒立ちが良くて、米の輪郭がきれいに残るんですよ。



もともとはガスの容量が足りなくて、炊飯器が置けなかっただけなんですけどね。完全に苦肉の策でした(笑)。
でも結果として、それがよかった。
保温もしないため、でんぷんが傷まず、時間が経っても色が変わらない。お寿司屋さんにも「お米美味しいですね!」と結構褒められます。


ご飯は、熱々と常温から選べます。
常温をすすめるようになったのは、スタッフの「常温の方が美味しいですよ」という一言がきっかけでした。
熱々にするより常温くらいの方が、人間の舌は甘みを感じやすいのだそうです。
魚に関しては、東京で一番うまいと思ってる





最後に、初めての方にむけてお店の特徴を説明していただけますか?



うちは魚が推しなんです。
寿司じゃない、中華の魚料理を食べてもらいたいです。
魚に関しては東京で一番うまいと思っています。



調理する前に熟成をかけるぶん、火の入れ方も味付けもシンプルにしています。魚とタレのバランス。
結局、やっぱりバランスなんですよね。
極端な話、前菜の代わりに出そうが、味の強い麻婆豆腐の後に出そうが、コースのどこで出しても「うちの魚が一番美味かった」と言わせる自信があります。


開業から13年目。
麻婆豆腐でこの店を知った人にこそ、次はぜひディナーで魚を頼んでみてほしいと思います。
なかの中華!Saiは今日も、駅から少し離れたこの通りで店を開けています。
なかの中華!Saiのメニュー
麻婆豆腐(ランチメニュー)


宮田さんいわく「ご飯が進みすぎる味だと思います」。その言葉どおり、麻婆豆腐は蒸し器で炊いたご飯と相性抜群。


ぜひともご飯と一緒に食べてほしい。
担々麺(ランチメニュー)


麻婆豆腐と並ぶ人気メニューの担々麺。


こちらも食べ飽きない味で、周期的に食べたくなるように作っているとのこと。
点心(ランチセットメニュー)


ランチにちょい足しができるセットの点心。
手間がかかっているのに、開業以来1度も値上げをしていないサービスメニュー。
店舗情報:なかの中華!Sai(中野区野方)


今回は、中野にある「なかの中華!Sai」さんに伺わせていただきました。



お店の詳細は、HPもしくはインスタを参照にしてぜひ行ってみてください!
| 概要 | 詳細 |
|---|---|
| 店舗名 | なかの中華!Sai |
| 住所 | 〒165-0027 東京都中野区野方1丁目6−1 カサフェリス 1F |
| 最寄り駅 | JR・東西線「中野駅」から徒歩13分ぐらい |
| 営業時間 | [火-金] 11時30分-13時頃(無くなり次第終了) 18時-22時(21時LO) [土] 12時-13時頃 18時-22時(21時LO) |
| 定休日 | 日曜日・月曜日 |
| 電話番号 | 03-6454-0925 |
| 店舗情報 | Instagram nakanochinese_sai |









